米軍はガダルカナル島を占拠して以来、1943年2月にはラッセル諸島に進駐し、飛行場を建設するなどして日に日に戦力を増強、ソロモン諸島方面の日本軍基地への空襲を強化していきました。
その内容は、戦闘機をラッセル諸島方面に進出させ、敵機を誘き出して殲滅する「ソ作戦」、
この時代の航空戦は敵機の撃墜を目視で確認するしかなく、戦果を過大に見積もってしまう傾向にありました。
戦闘機と爆撃機の連合部隊によるガダルカナル島に停泊する敵艦船攻撃の「セ作戦」から成るものでした。
1943年6月7日に「第一次ソ作戦」、12日に「第二次ソ作戦」が行われ、一定の戦果を挙げたと判断した日本海軍は、続く「セ作戦」に移る事を決定します。
6月16日に行われたこの「セ号作戦」、後に「ルンガ沖航空戦」と呼ばれる激しい空戦となりました。
零戦70機、艦上爆撃機25機の日本軍と、100機の米軍戦闘機が激突したのです。
華々しい戦果報告とは裏腹に米軍の損失はそう大きくはなく、逆に日本海軍は連日の空戦を通じて零戦30機、艦爆13機を失う大損害を被ってしまいます。
それどころか、この作戦で多くの主力パイロットを失ってしまった日本軍は、今後の任務遂行に大きな支障をきたすほどの航空機不足、練度の低下に悩まされる事になりました。
この頃になると、米軍の戦闘機の性能や編隊戦法の向上によって、大戦初期には空の覇者だった零戦も優位性を失っており、零戦は戦果をあげる事が困難になっていたのです。
さて、日本海軍航空部隊を退けてガダルカナルの防衛に成功した米軍は、日本軍のラバウル航空基地への反攻作戦の第一手として、ニュージョージア島侵攻という大規模作戦に打って出ます。
6月はじめから中旬にかけて行われた「六◯三作戦」において、既に日本軍は多くの戦闘機を失っていたため7月4日にはニュージョージア島の日本軍を駆逐できる、というのが米軍の目論見でした。
米軍は、ニュージョージア島攻略を支援するため、まずレンドバ島を占領し、砲台を築こうとします。
これを阻止するために日本軍も攻撃隊を出して上陸しよう突する米軍へ攻撃を加えますが、対空砲火を受けて返り討ちにあいます。
レンドバ島に上陸した米兵5000名に対し、140名しかいない日本軍守備隊は、敵の上陸を打電したのち、消息を絶ってしまいます。
米軍は27時間で砲台を完成させ、ニュージョージア島のムンダへの砲撃を開始しました。
※写真はムンダから見たレンドバ島
レンドバ島を占領されてしまった日本軍は、その隣の「コロンバンガラ島」の防衛を強化すべきだと考えます。
日本軍は速射砲と兵力を上陸させるため、駆逐艦10隻による輸送を試みますが、7月5日に米軍艦隊と交戦する事になりました。(クラ湾夜戦)
ここ戦いで日本海軍は2隻の駆逐艦を失いますが、米軍の軽巡洋艦一隻を撃沈し、予定の半分である1600名の兵力と90トンの物資の揚陸させる事ができ、「一応」の成功をおさめることができました。
さて、クラ湾夜戦の前日、7月4日に既にニュージョージア島へ上陸していた米軍でしたが、日本軍の夜戦と伏兵線による頑強な抵抗に拒まれて前進できずにいました。
ニュージョージア島のムンダでは激しい戦いが繰り広げられており、7月9日、日本軍はコロンバンガラ島からニュージョージア島へ一部の兵力を輸送します。(7月5日にコロンバンガラ島へ兵力を輸送したのに??)
この輸送は米軍の抵抗を受けずに成功する事になりましたが、当然ながらコロンバンガラ島では兵力が不足します。
そこで今度はラバウルからコロンバンガラ島へと増援が送られる事になりました。
7月12日、軽巡洋艦「神通」を旗艦とする艦隊に守られた駆逐艦輸送船団がアメリカ・ニュージーランドの連合軍と遭遇し、「コロンバンガラ島沖海戦」が勃発します。
艦隊の戦闘を進んでいた「神通」は、他の駆逐艦が雷撃を成功させるための囮となって集中砲撃を受けますが、破壊されて航行不能になっても尚、砲撃を繰り返しました。
米軍は砲撃を続ける神通を撃沈させるために3000発の砲弾を使用したため、他の日本軍駆逐艦は雷撃を成功させる事ができ、米軍駆逐艦1隻撃沈、駆逐艦2隻大破、軽巡洋艦3隻大破の戦果を挙げる事ができました。
日本軍の損害は神通の一隻のみ、輸送作戦は完全に成功する事ができました。
神通は大爆発を起こして真っ二つに折れますが、沈みゆく最後まで砲撃を続け、450名余りが艦と共に海へ沈んでゆきました。
後に、戦史研究家のサミュエル・E・モリソンは「神通こそが太平洋戦争中、最も激しく戦った軍艦である」と賞賛したそうです。
それにしても日本軍の場当たり的で大局観のない輸送計画はただただ損害を増やすのみ。
このような戦い方をしてしまった事を反省する事が、「他国に謝罪する事」よりも「戦争の義を語る事」よりもまず優先されるべきなのです。
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